ザ・プレゼンテーション
この本はプレゼンをするなら、一度は目を通さなければならない本です。
プレゼンで大切なことが網羅的に書かれています。さらに図でも説明されているから、分かりやすい。そして、読みやすい。だからこそ、強くオススメしています。
それでは、内容を紹介していきます。
あなたは主役ではない
(写真は本書より)
あなたは聴衆を救うヒーローではありません。聴衆があなたのヒーローなのです。
あっ、と思った方、いるでしょう。私は「あっ、マジか、勘違いしてた」と思いました。ついつい、自分が人前で話す機会になると、「どうやったらうまくできるかな」と自分主体で考えてしまうことがあります。でも、そうではない。それは間違っているんだ、と言ってくれています。
なぜプレゼンターがヒーローではなくて、聞き手側がヒーローでなければならないのか?
それは、私たち人には根本的に「自分にしか興味がない」という気持ちがあるからです。
だって、嫌いですよね?こんな人、、、
「ねぇ、聞いてよ。この前ハワイ行ったの。ほらほらこの写真見てよ」という人。
まぁ、Facebookで日常的に繰り広げられている戦いですが。
これをスピーチでもやってはならない、と本書では言われています。納得ですよね。
プレゼンテーションがあなたの聡明さをひけらかす場になってはいけません。そうではなく、帰り際に「このプレゼンが聴けたなんて夢のようだよ。これだけの気付きとツールをもってすれば、すごいことができそうだ」と聴衆に言ってもらえるようなプレゼンテーションにしましょう。
ということです。
あなたはヨーダです。「ルークのやる気が湧く源泉は何なのか」ルークの立場になって考えなければならないのです。
この本自体がプレゼン
あとは、ここがすごいということはないんですよね。実は。
なぜかというと、「全部良いから」^^
少し目次を紹介させてください。
第1章「心を動かすプレゼンテーション」では、上で挙げた”聴衆こそがリーダー”とか。
第2章「神話や映画に学べ」では、”テンプレートを使ったストーリー構成”とか”ヒーロー旅の構成”とかがあります。これらは図で表されているのもポイントです。なぜなら、すごく分かりやすいからです。例えば「ストーリー構成は、はじめ・なか・おわりですよ」と言われるよりも、「ストーリー構成はこの図のとおりです」と図で示されていたら分かりやすいと思いませんか?
第3章「聴衆を知る」では、”聴衆と共鳴するには”とか”聴衆を分類する”とか”共感の基盤をつくる”とか。
第4章「旅の計画」では、”ビッグアイデア”とか”旅の計画に役立つツール”とか。
特にビッグアイデアの箇所は必見です。なぜなら、鍵となるメッセージ選びでプレゼンテーションの結果が決まってしまうからです。だからこそ、疎かにできないところだと思います。
第5章「内容を練る」では、”コントラストが輪郭をつくる”とかストーリーを想起させる”とか。
コントラストってめっちゃ大事なんだ〜たしかに他の映画もそうだわ〜なんてことを思ったり。
第6章「構成を考える」では、”インパクトを与えるメッセージの並べ方”とか”感情のコントラストを生みだす”とか。
ストーリー展開とコントラストが、プレゼンにおいて大切なカギを握っていることが分かります。例えば、成功者がホームレスになる話よりも、ホームレスが成功者になる話のほうが興味が湧きませんか?
第7章「記憶に残る何かを伝える」では、”サウンドバイトをくりかえす”とか”心をゆさぶる映像”とか。
聴衆が何度も思い出してくれるようにする必要があります。そこで、やるべきなのはそのメッセージ作りだと言っています。例えば、アームストロングの場合「これはひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」とか。これがあると、ないのとでは大きな差になるのは明らかでしょう。
第8章「改善の余地はどこにでも転がっている」では、”シグナルは増幅し、ノイズは最小限に”とか”簡潔さが大切”とか”スライドからの脱却”とか。
例えば、「専門用語の多様」や「えー、そのー、のようなつなぎ言葉の多様」はやめましょう、と書かれていいます。入念の計画とリハーサルを欠かすな、と。
第9章「世界を変えよう」では、あなたは世界を変えられる、と書かれています。
ここまで、章のタイトルや目次を見ていただいて、どう思いましたか?私は本を最初から最後まで順番に見て、書かれていることをやれば、相当かっこいいプレゼンが出来上がると思いました。それくらいプレゼンについて網羅されている本なのです。それにしても、図があるのは本当にありがたいですよね。(この本の形は正方形)
面白すぎるケーススタディ
これは、ベンジャミン・ザンダーという指揮者のスピーチ。
面白い。非常に面白い!見始めたら最後まで一気に見てしまいました。
この本にはこのスピーチの解説が書かれているので、カラクリを知りたい人は本書を買ってみるといいでしょう。
他にも数々の有名なスピーチの解説が書かれています。
例えば、ロナルド・レーガンのスピーチ、ゼネラル・エレクトリックのプレゼンテーション、リチャード・ファインマンのスピーチ、スティーブ・ジョブズのスピーチももちろんあります。指揮者でもうひとり、レナード・バーンスタインのケーススタディも、さらにはモーツァルト、そうそうキング牧師のスピーチも解説されています。
というように、非常に濃い内容になっています。濃すぎる気もするが、本は濃ければ濃いほど最高ですよね。