エマーソンとその息子が、子牛を小屋に入れようとしていた。ところがエマーソン親子は、世間一般にありふれた誤りを犯した。自分たちの希望しか考えなかったのである。息子が子牛を引っぱり、エマーソンが後ろから押した。子牛もまたエマーソン親子と全く同じことをやった。すなわち、自分の希望しか考えなかった。四肢を踏んばって動こうとしない。見かねたアイルランド生まれのお手伝いが、加勢にやってきた。彼女は、論文や書物は書けないが、少なくともこの場合は、エマーソンよりも常識をわきまえていた。つまり、子牛が何をほしがっているかを考えたのだ。彼女は、自分の指を子牛の口に含ませ、それを吸わせながら、優しく導き入れたのである。
デール・カーネギー『人を動かす』より
エマーソン親子は、子牛を動かすことに失敗しました。
しかし、
アイルランドの女性は、子牛の欲しがっているものを与えることで、子牛を動かすことに成功しました。
これは営業だ!私はそう思いました。あなたもきっと、そう思っているのではないですか?
さて、エマーソン親子は、何を間違えたのか?
エマーソン親子の問題点とは?
自分のやりたいことを叶えるために相手のことを一切考えずに行動してしまった。
子牛の意思(お客の意思)を無視して、自分たちのやりたいようにやろうとしていました。
それが大問題だったのだと考えられます。
エマーソン親子(サービス提供者)にとっては、子牛を小屋に動かしたいのに、押しても引いても動かないのはどうしてなのかが分かっていなかったのです。いや、分かろうとしていなかったのです。
子牛にとっては、特に今動きたくないという思いから、それに抵抗して両手足を踏ん張ります。
この状況、気持ちのすれ違いが起きていると考えられますよね。
これでは、両者(売り手と買い手)の希望が叶えられないのは、明らかです。
それでは、売り手には何が足りなかったのでしょうか?
それは…
リサーチ不足が失敗をもたらしたのだ…
売り手側に足りなかったのは、リサーチです。
事前に、”相手の欲しがっているもの”を知っていれば何の問題もなく子牛を動かすことができたでしょう。
子牛が欲しがっているものを差し出しただけで、いとも簡単に子牛が動いたのですからね。
つまり、相手の欲しがっているものを、知っているのか知らないのかの違いで結果が変わってくるのです。
だから、「ターゲットについてとことん調べること」が重要になってくるということです。
果たして自分は、ターゲットのリサーチがきちんとできているのか?
もし、できていないのであれば、今すぐに取り組むべきです。
でないと、エマーソン親子のようになってしまうかもしれません…。
どうやってリサーチをしたらいいの?
これだ…
「ターゲットの欲しいものは何だろう?」
これを基準に全てを考えていくことが重要です。
「 30代前半女性/都内在住/一人暮らし/未婚/彼氏なし/結婚願望あり/OL 」
がターゲットであれば、この人たちは何を欲しているのかを考えることから始めます。
まず、実際にこの条件に当てはまる人を探してみましょう。
リアルな場でもいいし、既存のお客様と話すのもありです。
また、ヤフー知恵袋で調べるのも、お悩みgooで調べるのもいいでしょう。
とにかく、あなたの挙げたターゲットの条件に当てはまる人を、探しましょう。
見つかったら、その人たちが何を欲しているかを聞き出してみてください。
結婚したいー!と言っている女性は、子供が欲しい!と言っているのではないでしょうか?
そこから派生して考えてみるのです。
結婚したい→子供が欲しい→ 幸せな結婚生活を送りたい。
結婚したい→子供が欲しい→ 今の辛い仕事をやめて専業主婦になりたい。
結婚したい→子供が欲しい→ 親のプレッシャーから逃れたい。
結婚したい→子供が欲しい→ 周りの友達がそうしているから羨ましい。
などと派生して考えられるはずです。
そこがもしかしたら、見込み客の本当に欲しがっているものかもしれません。
実際に「もしかしてこんなものあったらいいなって思いませんか?」と聞いてみるのも有効です。
時には、考えるより聞いて相手をハッとさせる方が早いかもしれません。
欲しがっているものが分かったのであれば、それを見込み客の目の前に提示しましょう。
そうすれば、自然に見込み客は動いてくれるようになります。
つまり、営業することに成功するのです。
まとめ
「ターゲットの欲しいものはなんだろう?」という視点で営業を考えてみると、いいでしょう。
そして、そこから派生させて何を欲しがっているのかを深堀していくのです。
そうすると、ほんとうに欲しがっているものが見つかってきます。
そして最終的には、目の前に欲しいものがあれば、動いてくれます。
それがターゲットのためでもあるのですから。